〈テストシリーズH〉

  テストシリーズHは有機過酸化物及び自己反応性物質の輸送温度での熱安定性及び保冷輸送が必要か否かを判定する為の試験方法及び判定基準であり、具体的には、SADTを測定する為の試験方法である。SADTとは、輸送用に梱包された製品が、自己促進分解を起こす最低温度のことであり、周囲の温度、分解機構、包装単位、及びその物質並びに包装材の伝熱特性が組み合わさって決まってくる温度である。試験方法としては以下の4手法が使用できる。これ以外の手法でも輸送物でのSADTを正確に求めることができる方法であれば問題ない。
試験方法
コード
名称
H-1
  米国式SADT試験
H-2
  断熱貯蔵試験
H-3
  等温貯蔵試験
H-4
  蓄熱貯蔵試験

SADTが50℃以下のものの場合、以下の表に従って、管理温度及び非常温度を決める。

包装形態
SADT
管理温度
非常温度
小型容器及び中型容器
20℃以下
SADT−20℃
SADT−10℃
20℃を超え35℃以下
SADT−15℃
SADT−10℃
35℃を超える
SADT−10℃
SADT− 5℃
大型容器
50℃未満
SADT−10℃
SADT− 5℃

H-1は断熱効果の高い恒温オーブンに輸送物を入れ、輸送物の温度の変化を測定する。輸送物の温度が7日間でオーブンの設定温度より6℃以上上昇しない場合は、オーブン温度を5℃上げて同じ貯蔵試験を行う。SADTは輸送物の温度が7日以内で6℃以上上昇する最低温度である。
H-2はある温度に於ける有機過酸化物の分解熱発生速度を測定し、包装材による熱損失データを考慮してSADTを導き出すもの。熱伝対・加熱コイル、冷却管、発生ガス抜き細管を取り付けたデュワー瓶に試料を入れ、示唆制御装置の付いた断熱オーブン(試料との温度差0.1℃以内に制御可)中に入れ、設定温度まで試料温度を加熱した後、加熱を止め、温度の変化を記録する。24時間以内に自己分解による温度上昇が見られなかった場合、温度を5℃上げ、同じ試験を行う。自己発熱が観測されるまで5℃刻みで同じ作業を繰り返す。分解による発熱が観測され、系の温度が設定温度になった時点で強制冷却を開始する。各設定温度での、デュワー瓶の熱容量、熱損失、試料の比熱、発生熱量を計算し、温度に対して発生熱速度をプロットし,その曲線に熱損失の傾斜を持つ接線を引き温度軸(X軸)との交点を求める。その交点に最も近い高温側の温度(5℃刻み)がSADTである。
H-3は一定温度における反応物の熱発生速度を時間の関数として測定してSADTを求める方法。空気層で断熱された2個のサンプル収納用の穴を穿ったアルミブロックの片方に試験試料、もう一方にブランク用不活性試料を入れ、設定温度まで試料を加熱し、熱流量計で熱発生速度を測定し、最高熱発生速度を計算より求める。試験は最高熱発生速度のデータが7個得られるまで5℃刻みで温度を変えて行う。測定温度に対して最高熱発生速度をプロットした曲線に熱損失の傾斜を持つ接線を描きH-2と同様にSADTを求める。
H-4は米国式SADT試験と似ているが、試験は実際の荷姿の製品ではなく、デュワー瓶に入れた試料で行う。荷姿50kgまでに相当するものとして、400mlの試料を入れた熱損失80 - 100 mW/kg.Kのデュワー瓶を使用する。IBCやタンクでの輸送を考えている場合は、熱損失16 - 34 mW/kg.Kの1リットルのデュワー瓶を使って試験を行う。設定温度の恒温室に試料を入れたデュワー瓶を置き、試料の温度が恒温室の温度より7日以内に6度上昇する最低温度を求める。設定温度は5℃刻みで行う。

 
 

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