d) 実験室の試験において、次に該当する有機過酸化物組成物は最大単位梱包量が50kgを超えない荷姿で輸送できる(有機過酸化物タイプDと規定、図2.5.1の出口ボックスD)。
 
i )
爆轟は部分的であり、急速に爆燃せず、かつ、密閉状態の加熱で激しい効果を示さない。または
   
ii )
まったく爆轟せず、爆燃が穏やかで、密閉状態の加熱で激しい効果を示さない。または
   
iii )
まったく爆轟も爆燃もしないが、密閉状態の加熱で中程度の効果を示す。
  e) 実験室の試験において、まったく爆轟も爆燃もせず、かつ、密閉状態の加熱でより低い効果を示すか効果を示さない有機過酸化物組成物は、梱包単位で400kg/ 450リットル以下の荷姿で輸送できる。
(有機過酸化物タイプEと規定、図2.5.1の出口ボックスE)
  f) 実験室の試験において、キャビテーション状態でまったく爆轟も爆燃もせず、かつ、密閉状態の加熱でより低い効果を示すかまたは効果を示さず、さらに、低い爆発力を示すかまたは爆発力を示さない有機過酸化物組成物は、IBCs(中型容器)またはポータブルタンク(大型容器)で輸送できる。
(有機過酸化物タイプFと規定、図2.5.1の出口ボックスF)
  g) 実験室の試験において、キャビテーション状態でまったく爆轟も爆燃もせず、かつ、密閉状態の加熱で効果および爆発力を示さない有機過酸化物組成物は、その組成物が熱的に安定(50kg包装におけるSADTが60℃以上)であり、かつ鈍性化のために希釈剤タイプAが用いられている場合は、区分5.2の有機過酸化物の適用を除外する (有機過酸化物タイプGと規定、図2.5.1の出口ボックスG)。ただし、その組成物が熱的に不安定であるかまたは鈍性化のために用いられた希釈剤がタイプA以外の場合には、有機過酸化物タイプFとして規制される。

2.5.3.4 温度管理要件
2.5.3.4.1 
次の有機過酸化物は輸送中に温度管理が必要となる。
a) SADTが50℃以下の有機過酸化物「タイプB」および「タイプC」。および
  b) 有機過酸化物「タイプD」で、密閉状態の加熱で中程度の効果を示すSADTが50℃以下のもの、または、密閉状態の加熱で低い効果を示すかもしくは効果を示さないSADTが45℃以下のもの。および
  c) SADTが45℃以下の有機過酸化物「タイプE」および「タイプF」
2.5.3.4.2 SADTを決定する試験方法は、「試験方法および判定基準のマニュアル」第U部、第28節に示されている。輸送包装の材質と大きさに適する試験方法が選択されなければならない。
2.5.3.4.3 引火性を決定する試験方法は、「試験方法および判定基準のマニュアル」第V部、32.4項に示されている。有機過酸化物は加熱により激しく反応するため、ISO 3679に示されているような少量サンプルによる引火点測定が推奨される。

2.5.3.5 有機過酸化物の鈍性化
2.5.3.5.1  輸送中の安全を確保するため、有機過酸化物は通常、有機液体または固体、無機固体または水で鈍性化されている。物質のパーセントが明記されている場合は、最も近い整数に丸められた有機過酸化物の質量パーセントを表している。一般的に「鈍性化」は、漏洩や火災の場合に、有機過酸化物が危険な程度にまで濃縮されないようなものでなければならない。
2.5.3.5.2 それぞれの有機過酸化物に特に明記されていない限り、鈍性化のための希釈剤の定義は以下のとおりである。
a) 希釈剤タイプAは、有機過酸化物と相和性がある、沸点が150℃以上の有機液体ある。希釈剤タイプAは全ての有機過酸化物の鈍性化のために使用できる。
  b) 希釈剤タイプBは、有機過酸化物と相和性がある、沸点が60℃以上150℃未満で引火点が5℃以上の有機液体である。希釈剤タイプBは、適用する有機過酸化物の50kg荷姿におけるSADTより少なくとも60℃以上高い沸点をもつことを条件として、有機過酸化物の鈍性化のために使用できる。
2.5.3.5.3 希釈剤タイプA、B以外の希釈剤であっても有機過酸化物と相和性があれば、2.5.3.2.4項の表に記載されている有機過酸化物組成物に添加することができる。しかし希釈剤タイプAまたはBの一部または全部をこれらの別の希釈剤で置き換える場合は、その有機過酸化物組成物は区分5.2の通常の承認手順に従って再評価する必要がある。
2.5.3.5.4 水は、含有水あるいは安定な水中懸濁物水として2.5.3.2.4項のリストに記載されている有機過酸化物および2.5.3.2.5項に基づく申請により認可された有機過酸化物の鈍性化のためのみに使用できる。
2.5.3.5.5 有機過酸化物と相和性のある有機または無機の固体は、有機過酸化物の鈍性化のために使用できる。
2.5.3.5.6 相和性のある液体/固体とは、有機過酸化物組成物の熱安定性、危険性の種類に悪影響を及ぼさないものをいう。