4)量の管理
各容器あたりの量および総量は、火災や分解による被害を最小にするために、適正に管理しなければなりません。消防法の「危険物の規制に関する規則」にそれぞれの容器の種類ごとに内装/外装容器の最大収納容量が規定されていますので、
必ず守ってください。消防法では有機過酸化物は2類、4類及び5類という大きな分類の中でまとめた形で規定されていますが、船舶による輸送に関する「危険物船舶運送及び貯蔵規則」では個々の有機過酸化物別に,最大収納量が決められています。こちらも参考にしてください。
作業現場への持ち込みは必要最低限の数量に限定してください。この数量管理を疎かにして保管・貯蔵量を必要以上に増やしてしまうと、万が一火災や分解事故が発生した際の被害規模が拡大する危険性が高まります。
2.漏洩対策
有機過酸化物が漏洩すると、次のようなトラブルが発生する可能性があります。
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火災(有機過酸化物自身が可燃性であり、希釈剤として可燃性固体や可燃性液体を含有している場合が多い)。 |
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分解(温度上昇あるいはコンタミによる分解反応が起こりやすい)。 |
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希釈剤の蒸発による危険性の増大(安全性向上のために含有される液状希釈剤は室温でも蒸発し、有機過酸化物が濃縮され危険性が増す)。 |
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有機過酸化物との接触による取扱い者の目や皮膚の損傷(特にハイドロパーオキサイド類およびケトンパーオキサイド類は強い刺激性を有する)。 |
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誤った処置によるトラブルの拡大(吸着剤の種類によっては触媒作用のある不純物を含み、分解反応を促進する場合がある。また、ほとんどの有機過酸化物はガス状分解物を発生する)。
有機過酸化物の漏洩によるトラブルを回避するために、また、万が一トラブルが発生した場合の被害を最小限に留めるために、有機過酸化物を取扱ったり貯蔵したりするすべての所に、保護具、消火設備、吸収剤、希釈剤、防爆型の清掃用器具、その他の緊急用備品を用意しておかなければなりません。
漏洩時の処置、漏洩物の廃棄は、それぞれの有機過酸化物に適した方法に従うことが重要であり、製造業者のSDSならびに技術資料を参考にしてください。処置時には有機過酸化物に適した吸着剤の使用が、廃棄時には、処置後の分解生成物が容器内に滞留しないようにガス抜き弁を備えた容器を使用し(密閉容器の使用禁止)、現場や貯蔵庫に放置しないことなどが必要です。
管理者は、SDSや技術資料を根拠として、漏洩時の処置方法、漏洩物の廃棄方法、廃棄物による2次災害予防(コンタミや熱による分解)などについて規定を作成し、取扱い者に周知してください。
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