4.防火/消火

万が一の火災に備え、温度管理ミス、コンタミ等による有機過酸化物の分解発火に対してだけではなく、周囲への延焼防止についても対策を取っておかなければなりません。適切な貯蔵および予防設備によって有機過酸化物の分解、火災による周囲への影響を抑えることができます。
貯蔵に関しては、消防法(危険物の規制に関する政令・規則)で定められています。厳守してください。基本的には、
有機過酸化物を他の可燃物から隔離して貯蔵すること。
  周囲の建物から一定距離以上離れた貯蔵所に貯蔵すること。
  消火設備を設置すること。
  直射日光の射さない冷暗所に貯蔵すること。
  周りに熱源・火気・スパーク源がないこと。
  周囲の電気機器類は防爆仕様であること。
  液漏れを防ぐため、逆積み・横積みをしないこと。
  周辺で火災が発生した場合、有機過酸化物への延焼を防ぐため、また火災の熱による有機過酸化物の分解を防ぐために、有機過酸化物貯蔵所・コンテナー等に散水し、有機過酸化物の温度上昇を防ぐこと。
消火には通常水が使用されます。ただし、水の消火効果はそれぞれの有機過酸化物組成物によって変わってきます。水より比重の重い有機過酸化物に対して効果的です。水は火災が起こっている場所だけではなく、周りを含めて全体を冷却することができるからです。
消火ホースを使用する場合は、スプレーもしくは霧雨状にすると鎮火を早めます。  
液状泡消火は水単独の場合より適切な場合があります。非常に特殊なケースとして粉末消火が良い場合もありますが、温度が下がらないと再発火する可能性がありますので鎮火後、必ず水をかけて冷却して下さい。
小型消火器で消火するのは少量で比較的低活性な有機過酸化物の火災の場合のみに限ります。離れた安全な場所からの大量散水による消火が基本です。

5.衛生上の注意
他の化学物質と同様に、有機過酸化物も皮膚に付いたり、目に入ったりしないための対策が必要です。作業時には必ず保護用のメガネ、手袋を着用してください。また、長袖の作業衣を着用して皮膚を露出しないようにしてください。

1)皮膚に付いた場合
直ぐに石鹸と水で洗い流してください。痛みや痒みを感じ付着したことが後で判った場合も同様に洗浄し、患部に副腎皮質ホルモン軟膏等を塗布してください。

2)目に入った場合
直ちに多量の流水で15分以上洗眼した後、医師の治療を受けて下さい。特にハイドロパーオキサイドやケトンパーオキサイドは刺激性が強く、直ちに処置をしないと失明する可能性があります。

3)誤って飲み込んだ場合
大量の水あるいはミルクを飲ませ、医師の治療を受けて下さい。また、無理に吐き出させないでください。

6.その他の注意事項
1) 有機過酸化物は本来、衝撃・摩擦に敏感です。丁寧に取扱い、衝撃・摩擦を与えないでください。
2) 使用後の空容器は、できるだけ早めに水洗いして保管するようにしてください。