2)異物管理
異物が混入すると、急速分解が起こり温度管理を怠った場合と同様の問題を引き起こす場合があります。異物による分解は常温においても容易に進行して暴走反応に至るおそれがあり、主に有機過酸化物の取扱い中、使用中に発生しやすい現象です。この分解の起こりやすさは、異物および有機過酸化物の種類によって異なります。
異物の中でも、コバルト塩をはじめとする促進剤、促進助剤などのレドックス反応剤が特に分解を引き起こしやすく、他には、鉄イオンなどの還元性を有する金属塩、アミン類、強塩基、濃硫酸などの強酸が挙げられます。強酸化剤、強還元剤も分解を促進する場合があります。
これらの異物に対して以下の有機過酸化物が敏感に反応します。
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ケトンパーオキサイド |
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ハイドロパーオキサイド |
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パーオキシケタール |
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ジアシルパーオキサイド |
-OOH基を有するケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドはレドックス反応剤や還元性を有する金属塩に特に敏感です。パーオキシケタールは強酸に、ジアシルパーオキサイドは、アミン類や強塩基、強酸により分解しやすい性質をもっています。
小分けした使用残りの有機過酸化物を元の容器に戻すことは異物による分解の原因となりますので、厳禁です。
十分に洗浄した装置、器具を使用することが必要で、ポンプ等の装置を使用する場合は特に念を入れて確認してください。また、ステンレス、プラスチック、ガラスなど酸化還元反応に不活性な器具を使用してください。
溶剤などの希釈剤、不飽和基含有樹脂やビニルモノマーなどの反応性希釈剤は異物ではありませんが、それらの使用上の留意点を以下に説明します。
有機過酸化物の濃度調整に希釈剤を使用する場合、その種類と含まれる不純物に注意する必要があります。好ましい希釈剤として、可塑剤や不活性溶剤が挙げられます。希釈は活性酸素量を低下させるとともに熱放散性を助長するため、「化学的活性」、「危険性」を緩和します。また、また、場合によっては連鎖移動剤として作用するため、有機過酸化物の急速分解を引き起こす連鎖反応を停止する機能を発揮します。
反応性希釈剤を使用する場合は、樹脂やモノマー中に有機過酸化物を入れることが原則です。逆の操作は禁止です。
有機過酸化物を加熱した希釈剤や容器に入れることは禁止です。反応性希釈剤を使用する場合は温度管理が不可欠で、発生する重合熱を除去するための冷却装置を備える必要があります。
また、固体の有機過酸化物を希釈剤で溶解して使用する場合は,本来の熱分解しやすい不安定な状態となることに注意しなければなりません。
3)密閉度の管理
有機過酸化物の密閉度を上げない方法として、ベント装置を使用してください。
有機過酸化物の取扱い、使用にあたっては、別容器、ポンプ、輸送配管等を使用しなければならないケースが発生します。
有機過酸化物を希釈して使用することができず、また、使用装置の密封性が高い場合は、取扱い数量を最小にすることが重要です。有機過酸化物の分解ガスによる圧力上昇を防ぐためは、充分な能力の圧抜き装置を取り付ける必要があります。
防御用の装置、器具等も必要となります。
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